Project Story プロジェクトストーリー Story 02
熱量のある
仲間がいるからできること
技術部 鹿児島技術課 次長 田村 文一

Project Story プロジェクトストーリー

今までにない製品を生み出すのが東フロのモノづくり。
その中でも自動で流量をコントロールするバルブ『FCV-Cシリーズ』は、
国境を超え認められた製品でした。

技術は
国境を超える

一般的に流量をコントロールするには、流量計で流量を確認し、その数値をもとに人の手でバルブを調整します。バルブを一度調整すれば流量が固定されると思うかもしれませんが、実際は流量に影響を与える機器が複数あり、何か一つでも条件に変化が起きると流量も変化し、その度にバルブを微調整しなければなりません。営業から私への依頼は、予め設定した流量に1秒以内に自動調整するバルブを開発すること。そして、流量計と一体型ではなくバルブが単体で様々な流量計に後付け可能であること、超純水や強酸で安定して使用できることが条件でした。業界内でも新規性の高い画期的な製品になります。
そこで私はお客様に伺い、現状・実現したいこと・課題などを丁寧にヒアリングしました。お客様は韓国の設備機器メーカーで、私は全く韓国語が話せませんが、営業が韓国出身なので大きな問題はありません。初めは海外案件ということで不安はありましたが、話を聞くうちに機械の仕組みさえ分かってしまえば日本でも海外でもやることは同じだということが分かりました。技術に国境は関係ないということです。帰国後、私はいつものように目の前の課題解決に集中しました。

パートナー企業と、
一丸となって挑んだ開発

「流量を自動調整できる後付バルブ」というのは業界でも前例がなく、最初はどう手を付けて良いのかわからなかったので、まずは競合他社の似た製品の徹底的な分析から始めました。すると、参考にできる部分が少しずつ見えてきて、さらにそれらを組み合わせることで製品のイメージが掴めてきました。あとは手を動かし、修正・調整を繰り返し、徐々にカタチにしていく。そして試行錯誤をすること約4ヶ月、ついに最初の試作品が完成。実際に使っていただき問題点を一つ一つ解消していくのですが、本当に大変なのはここからでした。特に私を悩ませたのは「本体の発熱」と「流量の制御」。これらを解決するには設計を修正するとともに、仕入れたモーターやソフトウェアそのものを改良する必要があります。私はパートナー企業数社に掛け合い、問題の解消に取り組みました。会社の壁を超えたモノづくりの始まりです。蜜に連絡を取り合い、試作品を作り、使っていただき、不具合が起きれば直接伺って状態を確認することを繰り返す日々。当時は少なくとも月に一回は韓国に行く生活を送っていました。そしてプロジェクトが始まって約一年半。パートナー企業の協力もあり、ついに製品は完成し納品。今までにない画期的な製品が生まれた瞬間でした。

熱意のある仲間と、
完成の一歩先へ

一般的な技術職であればここで一段落としたいところですが、このプロジェクトは続きます。次に私が行ったのは韓国メーカーへ営業と二人三脚での売り込みです。実は日本より韓国のほうがエンドユーザー(工場)と近い設備機器メーカーが多く、そこで採用されるとエンドユーザーからの口コミが早く広がりやすいという特徴があります。この韓国マーケットの特徴を活かさない手はありません。私と営業は開発したバルブを手に、韓国の設備機器メーカーを何ヶ月もかけてひたすら回り続けました。ある程度の企業を回った段階で、展示会にも出展し製品をアピールしました。その際は競合企業から「これが“噂の” FCVーCですね」と言われるなど、私たちの想像以上に認知されていることを知りました。最終的に韓国では5社ほどの受注が決まりました。それからしばらくして、私たちの予想通り製品の評判はエンドユーザーから広がり問い合わせは増加。そして、その評判は海を超え日本へ逆輸入するかたちとなり、現在は国内外のメーカーからお問い合わせをいただいています。製品を作って終わりでなく自身の手で多くの方に広げることもでき、これまでにない達成感を感じていました。
FCVーCは私がゼロから開発に携わった最初の案件でした。熱意を持ったパートナー企業とのものづくりや開発後の営業とのマーケット開拓を通じて『同じ熱量の仲間と実感できた』ことが一番の財産だと思っています。いい仕事をするにはいい仲間は欠かせません。周りへの感謝を胸に、私は今日も開発を続けています。

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